二酸化炭素固定反応の機能解明

 正味の光合成反応は光エネルギーによる二酸化炭素の固定反応である。光合成によって、直接二酸化炭素を取り込む反応は基質として5炭糖であるリブロース1,5−二リン酸を2分子のホスホグリセリン酸(3炭糖)にする反応である。この反応を触媒しているルビスコと呼ばれる酵素の活性や機能を調べるために、従来では人体に有害な放射性同位体を用いてきた。我々は溶液NMRを用いてこの酵素反応をin situかつリアルタイムで解析する方法を開発した。13Cに加え、感度の高い31P1Hを観測種として用いた場合、時間分解能とスペクトル分解能とともに大きく向上できることが判明された。これらの測定は軽水中でも可能なため、簡便かつ迅速な測定法として幅広い応用が期待される。さらに、ルビスコの自発的巻き戻しとサブユニット再構成の最適条件を見つけ、その過程を追跡することもできた。


前のページへ戻る