光合成膜におけるATP分子の合成活性

ATPは生体反応に広く利用される高エネルギー化合物である。バイオリアクター構築のための要素反応として、光によるATPの再生反応系を構築することを試みてきた。原核光合成細菌は簡単な機械的な力により細胞壁が壊れ、光合成膜が自然に閉じて膜顆粒を形成する性質を利用してそのATP合成活性を研究してきた。この際、反応をin situでリアルタイムで解析するのに適した光照射装置を組み込んだNMR測定系を開発して、31P-NMRを用いることにより反応を追跡することに成功した。その結果、光合成細菌の種類と膜の調整法により光リン酸化活性に大きな違いがあることを見出した。また、動的光散乱法による膜顆粒のサイズ測定から、粒径とATP合成活性の関係、膜顆粒の熱耐性と光合成細菌の種類の関係に興味深い知見を得て、光駆動ATP合成するシステムの構築を可能にした。




光合成細菌の細胞と膜構造

全体図(左)

拡大図(下)



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